パーキンソン病は、一般的に50歳以降に発症する方が多く、
その結果として動作が緩慢になる等の特徴的な症状がいくつか現れます。
進行の仕方は様々ですが、
最終的には10年後に寝たきりになる患者さんも少なくはありません。
特に注目すべき点は、日本におけるパーキンソン病の患者数は
約16万人と推定されており、その傾向として年々増加しています。
この背景には高齢化社会の進展があり、今後も増えることが予測されています。
本記事では、具体的な視点から訪問鍼灸マッサージの現場でも良く遭遇し、
指定難病の1つでもある「パーキンソン病」について解説していきます。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは、簡単に説明すると脳の中の黒質と呼ばれる場所に存在するドーパミンが不足することによって、動作緩慢、こわばり、ふるえなどの症状を示す神経難病です。
進行性の病気であり、一旦発症すると自然によくなったり治ったりすることはありません。
一部のケースではごく一部の患者さんは遺伝子の変異が関連しますが、一般的には大多数の患者さんは原因不明です。
また、加齢に伴って発症しやすくなりますが、一方で働き盛りの若いうちから発症する患者さんもいらっしゃいます。
もう少し詳しく説明すると、黒質のドーパミンは脳の中の
“線条体”と呼ばれる場所にドーパミンを供給する役割を持っています。
しかしながら、パーキンソン病の患者さんでは
ドーパミンの脱落のために線条体のドーパミンが枯渇した状態になっています。
このため、結論としてパーキンソン病の症状は本質的にはドーパミン欠乏症状と考えられています。
症状や特徴
パーキンソン病では以下のように特徴的な症状が出現します。
静止時の震え(振戦)
筋肉が意図せず繰り返し収縮と弛緩を繰り返すことで、
体の一部が小刻みに震える症状を指します。
これは、不随意運動の一種で、
コントロールできない震えが特徴です。
パーキンソン病の患者によく見られるのが、
リラックスしている時に振戦が起きる、安静時振戦。
動作を始めると震えが軽減するのが特徴です。
筋肉のこわばり(筋固縮)
筋肉が異常に硬くなり、関節の動きが制限される状態を指します。
筋肉の緊張状態が継続的で、スムーズな動作が難しくなるのが特徴です。
分かりやすいものとしては、
関節を動かそうとすると、まるで「歯車」がカチカチと動くように感じる「歯車現象」。
いわゆる、この現象は、硬くなった筋肉を動かそうと頑張っている時に起こります。
これに対し、筋肉の伸縮がうまくできない場合、
鉛の管を曲げる時のように関節運動に抵抗感が出る「鉛管現象」が見られます、
無動・寡動
体を動かすこと自体が極端に減ったり、
動作全体がゆっくりと緩慢で小さくなるような状態です。
一般的に、顔の筋肉が表情が乏しくなる「仮面様顔貌」という特徴の他、
歩くための一歩目を中々踏み出せないすくみ足や小刻み歩行も見られます。
その上で、字を書く時の文字が小さくなる「小字症」や
声が小さくなる「小声症」などが発生し、日常生活に多くの困難をもたらします。
姿勢保持反射障害
バランスを崩した時に姿勢を保とうとする反射が弱くなり、
転倒しやすくなる状態を指します。
歩行時に歩幅が狭くなることが特徴的で、
さらに、すり足気味になるため、つまずきやすくなります。
そして、歩き出すと徐々に歩行速度が上がり、小走りとなり、
自分の意思では止まれなくなるといった突進現象も見られる場合があります。
様々な症状が重なることで、転倒リスクが高くなるため、
日常生活において活動範囲の制限に繋がることもあります。
治療方法
1. 薬物治療
根本的な治療方法は確立されていませんが、
基本となるのは段階的な薬物療法となります。
初期の段階では、まだパーキンソン病が出現したばかりで日常生活に影響がない場合、
特に治療を行わず、経過観察をすることが一般的です。
とはいえ、高齢者であったり、物忘れがひどくなったりする場合、
また仕事や日常生活で症状を抑えたい場合は、薬物治療が開始されます。
この際、パーキンソン病の原因となるドーパミン不足を補う「L-ドパ(レボドパ)」や、
ドーパミン同様の作用がある「ドパミンアゴニスト」が使用されます。
さらに、症状の改善が見られない場合には、薬剤の種類を変える、
または量を増やして調整を行います。
一方で、進行期に入ると、運動合併症が発生するため、治療内容が複雑化します。
なぜ、運動合併症が発生するのか?
発症して数年が経ちますと、抗パーキンソン病薬(L-ドパ)の効いている時間が短くなり薬がきれる感じを自覚するようになります。薬が効いている時間(オン)と効いていない時間(オフ)で症状の差を感じるようになるということです。そのような薬の効果持続時間の短縮による症状の日内変動をウェアリングオフ現象といいます。また、主に抗パーキンソン病薬の血中濃度が高い時に出現する体をくねらせるような不随意運動をジスキネジア(peak-doseジスキネジア)といいます。ウェアリングオフ現象とジスキネジアをまとめて運動合併症といい、これらを認めるようなった患者さんを進行期と呼ぶのが一般的です。
引用元:慶応義塾大学病院 パーキンソン病センター|パーキンソン病について
進行期には、運動合併症への対策として服用中の薬剤を変更したり、
すでに服用している「L-ドパ」を細かく砕いて、
レモン水などと一緒に飲む方法が取られることもあります。
胃腸の働きを良くする薬を併用するなど、
吸収を促進する工夫も重要とされています。
また、上記運動症状以外でも、非運動症状として、
睡眠障害や便秘、起立性低血圧、排尿障害、さらには幻覚などが見られますが、
これらの症状に対しても適切な治療が必要となります。
2. 手術による治療
パーキンソン病に対する手術としては、「脳深部刺激療法(DBS)」が広く行われています。
この手術では、まず頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから脳内(頭蓋内)に電極を挿入します。
次に、胸の皮下に刺激装置を埋め込み、両者をつないで脳内に継続的に刺激を与える方法です。
この結果、振戦や無動などの症状が軽減される可能性があります。
ただし、この治療法には適応条件があり、医師と十分に相談する必要があります。
訪問マッサージに期待できること
訪問マッサージは、リハビリテーションと並行して行うことで、
症状の緩和や生活の質の向上に役立ちます。
1. 筋肉の緊張緩和
具体的には、マッサージによって筋肉の緊張をほぐし、硬直を和らげます。
これにより、関節の動きが改善され、日常生活の動作がしやすくなります。
2. 血行促進
さらに、マッサージは血液循環を促進する効果があります。
これによって、痛みの軽減や疲労感の軽減が期待できます。
また、血行が良くなることで、全身の新陳代謝が向上する可能性もあります。
3. 関節拘縮を予防・改善
筋肉が弱くなると、関節を動かさない状態が続き、関節が固まってしまうことがあります。
この状態を関節拘縮といいます。
マッサージでは、関節拘縮を予防・改善するためにストレッチや運動療法を組み合わせます。
これにより、筋力の維持向上を目指し、機能回復をサポートします。
定期的な施術は、患者の運動機能を改善し、動作の滑らかさを助けるのに効果的です。
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ココリハでは無料で訪問マッサージが体験できる無料体験会を実施しています。
無料体験は国家資格を保有するスタッフによる施術を実際に体験できるので、
マッサージが初めてという方も安心安全です。
特に訪問マッサージは医療保険適用になるため、
介護保険を上限まで利用していても問題ないのが嬉しいポイント。
残念ながらマッサージはパーキンソン病の様な指定難病について、
助成の対象外となりますが、高額療養費の対象にはなりますので、
パーキンソン病でお悩みの方はお気軽にご相談下さい^^
しかし、近年では遺伝がかかわる研究が進んでいます。
また、パーキンソン病のほとんどを占める
非遺伝性の「孤発性パーキンソン病」についても、
原因解明に向けて努力が続けられています。
パーキンソン病が、「治る」病気になる日は、
それほど遠くないかもしれません。
気落ちすることなく機能訓練・マッサージで
進行を防止し、機能が向上する事を目指しましょう!